試しにアニソンを聞いてみる。

ボーカルの視点から音楽を聞いてみる。AMP対応ページは文字が細かくて非常に読みづらいので、AMP版でやって来た方は出来れば通常版を開いてやってください(ご迷惑をおかけします)/ページ下部でカウンター稼働中。たまに見てみて下さい/・歌手の話まとめ→https://goo.gl/VN63Wb/コンテンツの使用などに関して問題があれば撤去しますのでお伝え下さい。ご連絡はhttps://twitter.com/yfyamvまで

歌手の話 小松未可子(HEARTRAIL、Maybe the next waltzなど)

 小松未可子と言えば声優としての活躍が有名だが、歌手としても非凡なものを持った逸材である。それも、声優音楽的なものとは一線を画した「歌手的な」歌を歌う。ロッカーと他称されることもあるだけあって、恐らく今アニソンを歌う歌手の中では一番距離的にいわゆるポップスに近い歌唱を持った歌手なんじゃないかと思う。

 

www.youtube.com(HEARTRAIL)

www.youtube.com

(Catch me if you JAZZ)

 

www.youtube.com

(Maybe the next waltz)

 JPOPの多くの女性歌手はミックスボイスを地声と裏声の中間的な存在として位置付けており、主に地声と裏声を違和感なくつなげるために使うことが多い(早い段階から裏声に移行した方が喚声点の切り替えはスムーズに済むので、自然と喚声点は下がり、裏声の割合が増える)。小松未可子の歌唱の特徴としては、多くの楽曲ではミックス気味の声を高音域まで引っ張るのに使い、それより高い音域では明確な裏声を使っている(喚声点を上げるためにミックスを使う)。どちらかというと男性歌手に近いようなミックスの使い方をする歌手だと言える。

 そんな中、「ボールルームへようこそ」とのタイアップであるMaybe the next waltzはこれまでの小松未可子像を一曲で覆すような衝撃的な出来の楽曲になっている。具体的には喚声点をミックスで引っ張ることなく低い位置でキープし、楽曲の中でファルセットを多用した歌になっている。裏声を多用するJPOPの歌手の歌は大概裏へ抜ける際の違和感を売りにして楽曲を構成するような歌が多いのに対し、Maybe the next waltzは非常に自然に裏声を使うので、人によってはこれがファルセットだという印象があまり残らないかもしれないが、特にサビで大胆に裏声が使われている。

 小松未可子の発声はポップスの歌手としてはやや珍しい構成になっている。低い音域から息の多い声を多用し、高い音域まで似たような 声質こえしつ を維持して、特別高い音域を完全なファルセットで処理する。何よりも飾らない歌声が特徴的で、発声の良さとシンプルさ、音程、リズムの正確さ故にボーカルのラインが簡明で、弦楽器を多用してもオケに負けない、繊細でかつ力強い歌声になる。鈴木このみのようなパワーで物理法則を上から下まで使うタイプの歌い手とは対照的に特に歌い慣れした器用さや軽快さに秀でており、これはこれでアニメソングを歌う歌手の中ではトップクラスの「技術」を持った歌い手だと言える。

 

 小松未可子自身、そして小松未可子が好きなファンが小松未可子という歌い手をどうアイデンティファイしているかわからないが、個人的には小松未可子はいわゆる声優歌手とは全く違う活躍をする歌い手だと思っている。

 いわゆる声優歌手的な文脈を持つ歌というのは、(小倉唯、堀江由衣から水樹奈々や南條愛乃まで含めて考えても)楽曲に特徴的な声優性がにじみ出ているもので(水樹奈々も南條愛乃も世間的にはいわゆるアニメソングなのだ!)、声優歌手というのは声優からJPOPへのアプローチだといえる。小松未可子の場合はそもそも非常にポップス然とした歌を歌うので、声優音楽的な文脈とは明快に違いがあると言えるし、彼女のことをいわゆる声優歌手として解釈するよりは、現時点では声優もしていて歌い手としても活動しているパフォーマーとして捉えるのがベターなんじゃないかなと個人的には思っている。

 いわゆるアニソン的なものとは一線を画す出来栄えの楽曲が多いだけに、最近流行りのバンドものやアイドルものに出てくるような「歌を歌う声優」としての活動方針は成り立たないのかもしれないが、今後歌ものの企画を準備する人にはそういう方向でも是非考えて欲しいようなポテンシャルを持った歌い手だと個人的には評価している。小松未可子と言えば歌! というような時代が来れば、アニメ・アニメソングの歴史はまた一歩前進することになるだろう。

 

他の記事。

・歌い手の話 カテゴリーの記事一覧 - 試しにアニソンを聞いてみる。

・歌手の話 坂本真綾(buddy、幸せについて私が知っている5つの方法、トライアングラーなど) - 試しにアニソンを聞いてみる。

・歌手の話 YURiKA(Shiny Ray、MIND CONDUCTOR、鏡面の波など) - 試しにアニソンを聞いてみる。

(とりあえずMay'n→ここ→YURiKA→坂本真綾にしました)