試しにアニソンを聞いてみる。

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歌手の話 LiSA(crossing field,シルシ,Rally Go Roundなど)

 殆どの場合リスナーはCDを聞いて歌手を理解出来たことにする一方で、実際にはCDは録音と編集の世界で本来の歌手の歌との間にギャップがあるということがよく言われる。特定の歌手が上手いとか下手とかいうのはCD的に不正確な場合が多いと僕も思うけど、個人的にはCDの中で表現が確立されているならそれが歌手自身の表現だと言っても嘘にはならないと思う(殆どの人はCDしか聞かないから、CDの間に一貫性があればブレようがないのだ)。
 それより歌手の技術を語る上で難しいのは、2,3年もあれば歌手は別人のように上手くなることだ。(どうせCDはCDだという思いを誰しも持っているという前提で言えば)CDとライブのギャップよりもCD間の数年のギャップの方が歌を聞く上で認識の齟齬を生みやすい。誰のどの時期に言及しているかで歌手の技術自体が変わるからだ。かなりのファンで定点観測しているとかでない限り、2年前のベストヒットと今の距離感を理解することは難しいし、はっきり言って定点観測していても難しい部分はあるだろう。まあ、もし違う時代の話がはじまったなら詳しい方の人が話を合わせるのが合理的なんじゃないかと僕は思っている。
 
 変化の余地という意味で言えば、LiSAはデビューから5年と現時点でそこそこに歴史を持っている。現在的にはとてもポップス的な技術のある歌手だ。ロックだろうという意見もあると思うけど、ポップスという言葉には広義のポピュラー音楽とジャンルでいうポップミュージックの意味があって、このブログの中でもわりと意味をごっちゃにして使っているので過去には平気でロックの歌い手をアニソンとの対比でポップス的と称したりしているし、その意味ではこの歌手にはアニメソング的なものと比較して大雑把にポピュラー的に洗練されていると言わざるをえない技術がある。正確に言えば、完成度が高いのでどうやって解釈してもなにかしら納得を得られる部分があるということだ。その道で言えばLiSAは現在的なアニメソングの世界の中で随一のポピュラー的なキャラクターを持っているとひとまず言い切っても間違いはないと思う。
 
 とりあえず目を引くのはオリコンチャートでの成績の良さだ。9枚シングルを出して週間5位以内が4枚、ひとケタ台が6枚と何事かと思ってしまうぐらい上位にいるし、アニメを見ない層にもかなり分厚いファンがいることが予想される。これは歌手として立派なことだ。


 
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LiSA 『träumerei -MUSIC CLIP short ver.-』

 


LiSA 『シルシ -MUSIC CLIP short ver.-』

 

 

 ざっと見た感じでは2014年冬に発売されたシルシが一番売れているように見えるけど、この歌はBRiGHT FLiGHTに続きそれ以前の曲に比べるとボーカル曲として別次元に出来がいい。端的に言えば人は同じでも発声が全く違うと言える。艶っぽくて密度のある声に歌が支えられているので音がフラフラしないし、初見でも一目瞭然なのは力と滑舌で高音に乗せようとしなくなったことだろう。ファルセットに行くにしても地声で引っ張るにしても高い方に音が入りやすくなっている分余裕があるし、理由は発声が良くなったからだ。
 
 従来はサビは息の力と口の動きで音を作っていたので非常に「子音」が強い歌になっていたが、最近の歌は母音にアクセントが乗っているため歌がよりスムーズにメロディーになる。
 滑舌は本来ひとつづきであるはずのメロディーをみじん切りにしてしまうため、基本的には熱唱する歌手は滑舌を取り過ぎないほうがいい結果に結びつく事が多い。そしてそれは、普段滑舌で話す習慣を持つ「人間」にとっては単純により難しくて、単純でありながら高度なことになる。
 


LiSA 『Rally Go Round』-MUSIC CLIP Short Ver.-

 

 

 ライブは一部の歌手を除けば一生をかけて解決していかなければならない課題なのでまた別の話だけど、CDとして聞くならシルシ以降の楽曲におけるボーカル的な窮屈さは歌手にコントロールされて生み出されている。うまくなって自然に苦しくならなくなった分技術で歌に表情を出してあるので、音楽的に洗練された上に昔のものと比べても違和感が少ないだろう。
 元々は少し音程を出しに行って音に収まらない部分が、テンポが速くて譜面通りに歌うのが難しいロックの中での歌手らしい表現としてCDに収められる傾向があった(これはポピュラー的な世界では特に珍しくない)歌手だったのが、最近の曲はそういう音楽的に逸脱した部分が技術的な問題から歌手の意図的な表現に綺麗に塗り替わっているので、歌手としての同一性を損ねない範囲で、やっていることのレベルはかなり違うと言える。
 

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 まあ別に技術の向上があったところでなんだっていいじゃないかと思う人も多いだろうけど、基本的にポピュラーの世界では技術があるところに高度な表現が宿るから、表現を見せるために人は技術を磨く。アニメソングは表現で聴かせるというより難しいメロディーに収めるとか声優音楽的な系譜から価値が出るものだったし、それが変わってきたのがここ数年の若い歌手によってもたらされた変化だと僕は思う(申し訳ないんだがまたこの話だ)。その中でLiSAが果たした役割は大きいだろう。JPOPのロックみたいな音楽を主題歌に使うのが洗練されたコンテンツみたいな風潮をアニメにもたらしている(そんな雰囲気があると僕は勝手に思っている)当事者のうちの1人だろうし、やや語弊のある言い方だが、AKINOとか分島花音とか坂本真綾みたいな既存の凝ったアニソン歌手がもたらしている殴り合いに強そうとか規格外の格好良さがあるというような従来的なアニソンらしさとは違う方向からアニメソングの中に正統派音楽を作り出しているのは評価されない手はない。
 そして他の領域を見渡してみれば、結局今までアニメソングにありそうでなかったものの正体ってポピュラー的に洗練された表現なんじゃないのって感じが個人的にはするし、それを体現しているのがLiSAという歌い手だと思うのだ。現時点で歌手としての目標地点が明快かつそこに近い位置にいる完成度の高い歌い手だと思うので、変化を楽しむというよりは上手くなっていく経過を見る感じだと思うけれど、何年も先のことは誰にもわからないし、この歌手が今後どうなっていくのか、とても楽しみだ。

 

(この記事は、2016-01-03 02:26:44に公開し、一旦下書きに戻したものを再度編集し、公開したものになります)

 

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毎回記事を書いた後死ぬ程書くことを考えた挙句ろくなことが書けないので、今回からは気が向いた時だけ書くことにします。

 

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