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アイカツ、「+1」、リリィ先輩の歌について(アイカツスターズ!)

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(アイカツスターズ!ミュージックビデオ『荒野の奇跡』をお届け♪)

 白銀リリィというキャラクターを語るにあたって欠かせないのが、彼女のアイカツシリーズにおけるデビュー楽曲であるDreaming birdだと思います。以前書いた記事に筆者の大雑把な考えが乗っていますが、この楽曲は非常に多様な拍子の変化の中に一貫した曲調や歌いやすさが包み込まれており、歌をやったことのない人には複雑で難解な歌、歌をやったことがある人には簡明な歌に映るという個性を持った楽曲でした。

 

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(アイカツスターズ!ミュージックビデオ『Dreaming bird』をお届け♪)

 

 

 そしてミュージックレビューというのは、ボーカル楽曲に対するものに限ったとしても歌い手(ボーカルというパートを務めるもの)によって記されることは少ないのです。従ってDreaming birdに対する評論の大半は、「難しい」「複雑」と言ったものになったことと思いますし、場合によっては、「こんな複雑な楽曲を歌に出来るななせさん(白銀リリィの歌の中の人)は凄い!」的な論調をも導くことになったと思います。しかし、Dreaming birdはそもそも歌にするという面から言えば、決して難しくはないのです。

 そもそも歌い手が楽曲を歌にするというのはどういうことなのか。リズムと音程を取って、更にそれを一貫したメロディーとして構築するという作業がそこに存在するわけですが、この二つの工程のどちらについていってもDreaming birdは難しくはありません。特にリズムについていえば、シンコペーション(強拍の移動)の少なさ、そして強拍から始まるメロディーの多用などによって、アイカツの楽曲の中でも歌にする難易度は極めて簡単になっています。

 そして、音程とリズムを揃えたものを一続きのメロディーに梱包するという段階にあってもなおこの楽曲は簡単です。その大きな理由の内の一つは、リズム的、音程的に簡明すぎて、歌えていればとりあえず聞き手からしてみればどんな楽曲か分かってしまうことに起因しています。

 ここでとりあえず押さえておいていただきたいのは、インスト的に高度なことをしている楽曲が必ずしもボーカル的に高度なことをしているとは限らないということです。そして、そうした意味でDreaming birdは、如何に音楽的に難しいことをしようと、歌い手に出来ないことはさせない、むしろ積極的にイージーな方に持っていくという、ある意味アイカツシリーズの楽曲作りを象徴するような楽曲だと思います。この方向性は、破綻した歌を全世界にぶちまけている他のアイドル音楽企画やバンド音楽企画にも見習ってほしいところですね。

 

 さて、ここまでリリィ先輩の歌唱の特徴にほとんど触れずに1000字余りを書き連ねてきたわけですが、実際の所リリィ先輩の歌唱は、スターズまでの歴史を遡って見るとかなり高いレベルでまとまっています。ニュアンス頼みの表現なのであまり好きではないのですが、彼女の歌には表情とでも呼ぶべきものがあります。楽曲を建築物だとすると、わかばちゃんの記事で触れさせていただいたハードパワー的な、発声の力や声質というのは基礎であって、その上にどんな構造のどんな建物を建てるかというソフトパワー的な部分に焦点を当てるのは、まず基礎が成立していないと話題にすら上がらない話なわけです。しかるに、(悲しい事ですが)多くのアイカツの楽曲は、「表現」というソフトパワーを話題にするレベルにまで行きついていません。そんな中でリリィ先輩が卓越しているのは、ちゃんと自分の歌を表現にまで落とし込んでいるからです。個人的にはハードパワーの差で真昼ちゃんの方が技術的には上手かなと思っていますが、ソフトパワー的な面で言うならば、恐らく「ただ歌っただけ」、というレベルを超越しているのは、スターズまでの歴史の中ではリリィ先輩ただ一人なのではないかと思います。その意味で、リリィ先輩が歌組の傑出であることは間違いないでしょう。

 

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